論文翻訳は一般的な文章の翻訳よりも難解であり、高い専門性と正確性が求められるため、論文翻訳者には学歴・知識・経験・能力のすべてが高水準であることが求められます。
論文のジャーナル投稿を効率よく進めるためには、ジャーナルに適した学術英語かつ自然な英語での論文翻訳を実現できる翻訳会社への依頼をおすすめします。
本記事では、翻訳会社に論文翻訳を依頼すると得られる4つのメリットと翻訳会社が提供する論文翻訳サービスの内容を解説します。論文翻訳でお悩みの方は是非参考にしてくださいね。
論文翻訳とは?

国際的な英文ジャーナルに投稿するために、日本語で書かれた論文を英語に翻訳することが論文翻訳です。
英語が得意ならできるものではなく、該当する専門分野の深い知識と社会経験が必要であり、翻訳業務のなかでも高い水準の能力が求められます。
論文翻訳の分野
学術論文の分野は1,000以上に細分化されています。
主な分野・研究領域は下記のとおりです。
分野 | 研究領域 |
---|---|
人文社会系 | 社会学・教育学・文学・歴史学・心理学・芸術学・メディア学 |
ビジネス・経済学 | ビジネス・経済学・経営学・会計・統計学・銀行法・金融学 |
理学・工学系 | 化学・材料化学・分析化学・有機化学・地球学・環境科学・航空宇宙工学・機械工学・電気工学・物理学・原子、分子物理学・コンピューター科学・情報システム・計算科学・数学・理論計算科学・天文学・プラズマ科学・バイオテクノロジー |
生命科学・医学医療系 | 生命科学・医学医療系 生化学・遺伝学・分子生物学・神経科学・薬学・植物学・ゲノム科学・農芸化学・食品科学・免疫学・毒物学・臨床医学・獣医学・看護学・健康管理学・病理学 |
論文翻訳の必要性
研究者は論文を執筆し、ジャーナルに掲載されることで自分の実績を証明できます。
研究職の人材採用時に、研究者としての能力を評価するための判断材料として、論文が掲載された本数と掲載されたジャーナルがどれだけ著名であるかを参考にする場合もあります。
近年、科学技術における日本の国際競争力は低下しているといわれています。日本の研究者にとっては、日本の科学技術の存在価値を示すためにも著名なジャーナルに掲載される論文を書き上げることは急務になっています。
ただし、どんなに素晴らしい研究内容であっても、業界で認められて多くの人に知ってもらわない限り価値は生まれません。
また、優れた研究内容の論文であっても、英語の質が悪ければジャーナルからの受理は望めないのです。
翻訳会社に依頼する4つのメリット

研究論文は内容が重要であり、新規性、進捗性があることが第一条件です。ただし、英語の間違いが多く、読みにくい文章では内容が十分に理解されない可能性があります。査読者を疲れさせずに集中して内容を解釈してもらうためには、正しく読みやすい英語にすることが肝要な条件となります。
ジャーナル受理に近づく翻訳文を仕上げるために、論文翻訳を翻訳会社に依頼するメリットを4つ紹介します。
①論文翻訳専門の翻訳者が対応する
英語力が高いことはもちろんですが、該当する専門分野・研究領域の知識や経験および翻訳経験がある論文翻訳専門の翻訳者が行います。
日本語で書かれた論文を正しく読みやすい英語に翻訳するには、翻訳者自身が研究内容を正確に理解できなければなりません。
論文翻訳は以下のような要件を満たす翻訳者が対応します。
- 該当分野の博士号・修士号保有者
- 実験経験、装置の取り扱い経験がある
- 研究報告書などの作成経験、論文出版の経験がある
- 学術論文翻訳の経験が10年程度ある
- 専門領域における正しい英語表現を習得している
- 該当する学術誌および学会などで使用されている言い回しや表現を熟知している
- 原文の日本語を正しく理解できる
- 執筆者と適切なコミュニケーションがとれる
論文翻訳は、定年退職または早期退職して翻訳者に転向した元研究者などが担当しています。特に専門性の高い医学論文翻訳では、現場を引退した医師や薬剤師、看護師などが担当します。副業で翻訳を行う現役の医療・薬学系研究者などが論文の翻訳を行う場合もあります。
上述のとおり学術論文の研究領域は1,000以上あり、研究領域はさらに階層で分類されます。たとえば、医学系の看護学のなかには高齢者看護学、小児看護学などの項目があるので、その項目レベルまで合致している翻訳者ならより高いレベルの論文翻訳を作成できます。人材資源の豊富な翻訳会社の論文翻訳サービスなら、細分化された項目に合致した翻訳者を配置できるといえるでしょう。
翻訳会社によっては、ウェブサイトで対応できる専門領域の数を掲載していますので確認しておきましょう。
翻訳会社FUKUDAIの英語翻訳サービスについてはこちらをご覧ください。
②ネイティブチェックを受けられる
論文翻訳は英語が母国語であるネイティブ校正者によるチェックが必須事項となっており、翻訳会社の論文翻訳サービスにはネイティブチェックが含まれています。
論文専門の校正者は、翻訳者同様に専門分野の博士号・修士号保有者です。専門分野での就業経験と論文執筆や英文ジャーナルでの査読・編集の経験を有することが求められます。
以下の項目などをチェックして英語としての精度を上げるのが目的です。
- 英語として自然な文章か
- 英語として内容が正しく伝わるか
- 英語の論文として適した文章になっているか
- 査読者が読みやすい英語になっているか
ネイティブチェックによるフィードバックを受け、修正する作業を繰り返すことによって執筆者本人の論文英語力も向上していきます。これも大きなメリットですね。
③論文のジャーナル受理率を高める
論文内容は研究業務の積み重ねた結果であることに変わりはありませんが、「より良く見せる、楽に読ませる」ためのあらゆる手を尽くすのが論文翻訳サービスです。
上述の翻訳・チェックに加えて、投稿するジャーナルに好まれて評価されやすくなる文章形式に変更する、英文を徹底的に磨き上げるなどのジャーナル受理のために特化したサービスも提供されています。
また、論文翻訳サービスを看板としている翻訳会社には次のような特色があります。
- 論文の規定に則った論文翻訳を素早く仕上げる
- 学術出版業界の事情を常にアップデートして提供できる
- ジャーナル掲載の経験でしか得られない知識と技能をもっている
- 日本人研究者によく見られる間違いの傾向と対策について熟知している
上記のような翻訳会社の論文翻訳サービスを利用することは、ジャーナル受理率を高める手段の1つであるといえるでしょう。
④早く論文翻訳を仕上げられる
研究者とはいえ毎日実験してレポートを書くだけが業務ではありません。
組織の一員としての職務もあり、階級が上がり役職がつくにしたがって打合せや会議は増える一方です。管理職になると人事的な業務も発生し、電話やメールに追われて自席につけるのはお昼休みのみ。じっくりと物書き作業に打ち込めるのは移動中の飛行機か新幹線の中だけ…なんて人も少なくないでしょう。
どんなに事務業務に忙殺されていても、研究者としては論文を執筆しなければ評価の対象とならないのが現実。研究者としての実績を示すには英文ジャーナルへの掲載本数が問われます。
近年の論文出版の競争が激しい状況で、効率的に多くの論文掲載を実現するためには、いかに所要時間を短縮できるかがカギとなります。
「論文一本の翻訳に長い時間かけていられない!」というのが実情ではないでしょうか。研究者にしかできない業務を優先して、論文翻訳には翻訳会社を利用したほうが効率が上がるといえるでしょう。
翻訳会社の論文翻訳サービス

論文翻訳を依頼すると必要経費はある程度大きくなります。
料金の内訳となる論文翻訳サービスの内容を確認しておきましょう。
論文翻訳サービスの手順
一般的な論文翻訳サービスの手順は次のとおりです。
①専門翻訳者による翻訳
論文の専門分野と合致し、翻訳対象言語(英語)のネイティブである専門翻訳者が担当します。
内容の確認や突き合わせのために執筆者本人とコミュニケーションをとる場合もあります。
②クロスチェック
上記専門翻訳者により英語に訳された文章を、原文のネイティブ(日本語)翻訳者が日本語の原文と英語に訳された文章を読みながら比較して、訳文に原文との内容のずれや、単語の見落としなどがないか確認します。
「クロスチェック」を辞書で調べると、「物事を異なった観点や複数の資料・方法で検査・確認すること」とあります。(Oxford Languagesより)
訳文のネイティブと原文のネイティブ、別の人間がそれぞれの観点でチェックすることによって論文翻訳の精度を上げていくのです。
④ネイティブチェック
上記の専門翻訳者と同等の能力と経験を有し、論文の専門分野と合致するネイティブ校正者が担当します。ネイティブチェックは2名体制でチェックを行う場合もあります。見る人の目を増やすことで翻訳文の品質を最大限まで高めます。
⑤投稿前の最終チェック
日英バイリンガルおよび英語ネイティブの品質管理担当者あるいは品質管理チームなどが、投稿前の原稿の最終チェックを行います。複数人数による複数回にわたるチェックを行うことで、確実に論文翻訳を仕上げていきます。
その他追加オプション
上記の論文翻訳サービス以外に、校正に入る前に執筆者本人によるチェックを行う、ネイティブチェック後に再校正を行うなどの工程を含む場合もあります。
論文翻訳の仕上がりに納得がいかない場合などは、無料で再翻訳や再校正を行うサービスや、料金を調整して割引することもあります。
さらに、次のようなサービスも提供されています。
翻訳会社によって無料またはオプションとして追加料金が発生する場合があります。
- ジャーナルの選定サポート
- 投稿規定の確認
- ネイティブチェック証明書発行
- 図や表の編集
- カバーレター作成
- 倫理に関するチェック(剽窃*、二重出版など)
- フォーマット調整
- 校正証明書発行
- 単語数調整
- 査読者からのコメント対応
- 他ジャーナルへの再投稿
- 発表の練習用音声吹き込み
*剽窃(ひょうせつ):他人の文章などの文句または説をぬすみ取って、自分のものとして発表すること。(広辞苑 第七版より)
以上のように翻訳会社の論文翻訳サービスには論文作成からジャーナル出版・発表までのすべての工程において至れり尽くせりのサポートが提供されています。
論文翻訳サービスの料金
ジャーナル掲載の確率を上げるために最善を尽くしたいが、予算には限りがある。
論文翻訳サービスをどこまで利用するかは最終的には料金との相談になるでしょう。
まずは、一般的な翻訳サービスの料金をみてみましょう。
日英・英日翻訳の分野別の翻訳料金の目安を以下に示します。(日本翻訳連盟の公式サイトより引用)
翻訳料金は日英は日本語の1文字あたり、英日は英語1ワードあたりの価格です。
文書の種類/分野 | 日本語から英語へ翻訳 | 英語から日本語へ翻訳 |
---|---|---|
コンピューターマニュアル | 20円 | 28円 |
一般科学・工業技術 | 21円 | 28円 |
金融 | 25円 | 30円 |
経営管理・財務・契約書 | 30円 | 25円 |
医学・医療・薬学 | 30円 | 35円 |
特許明細書 | 30円 | 26円 |
※引用:日本翻訳連盟 翻訳料金の目安(価格はすべて税別)
論文翻訳は求める仕上がりレベル、原稿の分量、納期によって料金は異なってきます。日英論文翻訳の場合、各翻訳会社の翻訳サービスの種類によって文字単価は8円代~40円代と価格にかなり幅があります。
翻訳を依頼する段階での論文の出来上がり程度、執筆者本人の英語レベル、執筆や投稿の経験値などで論文翻訳の料金は個人差が大きくなります。
翻訳会社FUKUDAIの翻訳料金・対応言語についてはこちらをご覧ください。
論文翻訳サービスの見積もりを依頼する
翻訳会社は無料で見積もりを発行しています。
予算を決めるためには、見積もりを依頼してみましょう。事前に文字数と希望納期を確認しておくとスムーズに進行します。
翻訳会社数社に見積もりを依頼し、下記のように必須条件をリストアップしてから金額を比較するといいでしょう。
- 投稿経験がないのでフルコースでサービスを受けたい
- 予算が厳しいので料金から選定したい
- 急ぎなので納期優先で決めたい
- ネイティブチェックに重点をおきたい
FUKUDAIの無料翻訳見積もりは60分以内に回答いたします。
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苦労して論文をまとめ上げてさらに英語の壁に突き当たるのは苦しいことです。壁を突破するにはとにかく書くこと、直してまた書く経験を積むことによって論文翻訳の技術は向上していきます。
FUKUDAIの論文翻訳サービスでは、学術業界で経験を積み、専門分野に特化したバイリンガル翻訳者、熟練翻訳者が担当します。お客様のご要望に応じて最適なサービスを提案させていただきます。
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