論文修正には広義と狭義の2種類の理解がある。広義の理解には執筆過程の各段階における修正が含まれる。一方、狭義の理解とは、草稿が完成した後の仕上げ修正のことをいう。狭義の理解であっても、広義の理解であっても、論文修正の内容及び範囲は通常、主題を含む思想・観点の修正、使用資料の修正、構成の修正、言葉の修正などを含み、以下に各修正の範囲及びその要求をそれぞれ述べるものとする。

論文修正
思想・観点の修正
文章を書くのは主に、自分の思想を表現し、自分の主張を宣伝するためである。もし自分の認識が浅く、ひいては誤りがあれば、他人に教訓を与えることはできないし、悪い影響を与えることさえある。文章の論点は文章の最も重要な部分であるが、認識が浅く、見識が高くなければ、文章の資料や構成を上手く整理しようとしても、困難である。したがって、論文を修正するには、まず論文の主題や観点が正確であるか否か、認識が深いか否か、文章に新しい発想があるか否かを考える必要がある。
まず、文章全体を俯瞰し、全編に立脚点を置いて、文章の中心の論点が正確で、集中していて、鮮明で、深いか否か、革新性を有しているか否か、文章の題目が合致しているか否か、若干の従属的な論点と中心の論点が一致しているか否か、いくつかの表現の仕方が全面的で、正確であるか否かをじっくりと見ることが必要である。
次に、論文における主観的であったり、全面的でなかったり、中身がなかったりする部分に対して、次のような補強、補充などの書き直し作業を行うことが必要である。偏った部分を適切な表現にする。全面的でない部分を全面的にする。あいまいな部分をはっきりとさせる。内容が浅い部分を深くする。まとまりのない部分をまとめる。不適切な部分を適切な表現にする。古い表現を新しい表現にする。低い構想を昇華させる。
さらに、論文の見出しを修正する。論文の題目は論文の「目」であり、題目が短く簡潔で、はっきりしていれば、生き生きとした印象を与え、一目で興味を持たせることができる。したがって、初稿の題目を吟味、推敲、修正することは、とても重要なことである。
資料の修正
主に論文が引用する資料の追加、削除又は調整のことをいう。資料は、論文における「血肉」で、観点を証明する論拠であり、論点成立の拠り所である。したがって、資料選定の基本的要求は次のとおりである。1つ目は必要なもの、すなわち観点を説明する資料を選定する。2つ目は真実であること、すなわち使用する資料は必ず実際に合致し、正確で信頼できるものでなければならない。そして、3つ目は資料引用が適切で、多くも少なくもなく、ちょうどよい程度である必要がある。
資料の修正は通常、次のような2つのステップで行う。
第一ステップはチェック、校正であり、すなわちまず観点、構成、言葉を考慮せずに、初稿における法則、論断、データ、典型的な資料、引用文献の出所などのつき合わせを含む資料自体が真実で、信頼でき、正確であるか否かをチェックするだけである。それによって、疑問点や前後矛盾するところを見つけ、必ずはっきりさせ、明らかにしなければならない。権威ある作家を引用した場合、条件が整えば、資料と原文をつき合わせて、間違いがあったり、真実でなかったり、食い違いがあったりする全ての資料を削除するか又は正確に書き改めて、論文がしっかりとした信頼できる基礎の上に成立していることを保証するのが望ましい。
第二ステップでは、論証の中心論点及び各論点からの要求に基づいて、資料の追加、削除又は調整を行う。資料が不足していたり、不十分であったりして、論点を説明するには十分でないものに対しては、具体的で、典型的な新たな資料を補充することで、論拠をより充実させ、論証をより強くすることが必要である。資料が雑然としていたり、重複していたり、資料と観点が一致していなかったりするものは、観点を際立たせるために削除する。また、資料は多くてもいけなく、適度な量が好ましい。古くて一般的な資料は、より適切な資料に取り換える必要がある。
構成の修正
構成は論文の表現形式の重要な要素であり、論文内容の配置である。構成の良し悪しは、論文内容の表現効果に直接関係している。構成の調整と修正は、全文の構造と配置に関係している。
構成の修正は、主に次の3つの点を考慮しなければならない。
まず、区切りがはっきりしているか否か、考えの筋道が通っているか否かということである。通常、まず大小の見出し間の関係から、文章の筋道と区切りを判断することができる。論文に小見出しを設けないのであれば、内容から判断しなければならない。
次に、構成が完全であるか否かということである。論文は完全な構成が必要である。序論、本論、結論という3つの部分を有する論文は、調和がとれている。すなわち人を引き付ける魅力的な冒頭があり、資料があり、分析した論証があれば、鮮明で力強い結末があるのである。また、各部分の主要なものと副次的なもの、詳細が適切か否かを詳しく見る必要がある。
さらに、構成が厳密か否かということである。論文には論点と論拠が必要不可欠であり、大きな論点と小さな論点の間には厳密な論理性がなければならない。もし論文の構成がしっかりしていなければ、絞ることで、余計な資料を削除し、誇張した部分、主題から遠く離れていたり、無関係だったりする部分を削除しなければならない。
言葉及び句読点の修正
言葉は思想を表現する道具であり、論文を正確に、簡潔に、生き生きと書き上げるには、言葉の運用において繰り返し推敲して修正しなければならない。論文の言葉の修正では、以下の2つの点に注意することが必要である。1つ目は、表現がはっきり且つ簡潔であることである。できるだけ多くの問題を最小限の文字で説明することは、高品質の論文の必要不可欠な条件である。2つ目は、言葉の可読性であり、そのために、平凡な言葉を鮮明に、読みにくい言葉を流暢なものに、単調な言葉を生き生きとしたものに、不明瞭な言葉を明快なものに、あいまいで漠然とした言葉をはっきりした具体的なものに変えるべきである
では、言葉を如何にして推敲し、練ればよいのだろうか。
言葉を正確に、簡潔に、生き生きとさせるためには、どうしても字句を練らなくてはならず、そのためには、正しい指導的思想が必要不可欠である。また、修正において以下の4つの点に注意しなければならない。
まず、できるだけ正確で、生き生きした簡潔な言葉を利用する必要があり、勝手に作った新語、品詞の誤用、語義の混乱などの言葉の使い方における不適切、言葉の意味が通じないという欠点をきっぱりと改め、誤字、当て字及びや規範に合わない略字、造語をきっぱりとなくさなければならない。
次に、構成が欠落していたり、構成が混乱していたり、組み合わせが不適切であったりするなどの文法に合致しない文に対しては、言葉の規範に合うように注意して修正しなければならない。
さらに、文の間の論理的なつながりに注意し、上から下までの意味が通じ、語調が一致して、すらすらで流暢になるようにしなければならない。
最後に、句読点をチェックし、規範的な文章にする。句読点・符号は文章の構成要素の1つであり、文章の有機的な構成要素である。適切に用いると、内容を正確に表現できる。反対に、不適切に用いると、内容の表現に影響を与え、ひいては異なった解釈になってしまうことがある。
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